新型コロナウイルスパンデミック以後、インフルエンザの流行はほぼありませんでしたが、昨年は学級閉鎖が頻発し、今年も冬にかけて新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が危惧されます。
インフルエンザと新型コロナウイルスが同時に感染すると重症化や死亡リスクが2倍〜4倍になると言われています。インフルエンザワクチン予防接種については、副反応も少なく、有効期間も6カ月程度期待できます。
尚、新型コロナウイルスワクチンとインフルエンザワクチンの接種間隔においては、特に制限はありませんので、ご都合の良い日に早めの接種をおすすめ致します。
接種後2週目頃から効果が現れ、半年近く持続するとされています。
65歳以上の方は1回の接種で十分効果があります。
13歳〜64歳の方も1回で十分効果がありますが、特に心配な方は2回接種してもかまいません。
13歳未満の方は必ず2回接種して下さい。
欧米ではインフルエンザの予防接種が、高齢者・成人の発病や重病化防止に、1回接種で有効であるという数多くの論文が発表されています。
わが国においても予防接種を受けることにより、65歳未満で発病に対して有効率70〜90%、65歳以上で34〜55%、死亡リスクは有効率80%以上という結果が報告されています。
対象 | 指標 | 相対危険※ | 有効率 |
---|---|---|---|
米国、高齢者、施設入所者 | 死亡 | 0.2 | 80% |
米国、高齢者、施設入所者 | 入院 | 0.4‐0.5 | 50〜60% |
米国、高齢者、施設入所者 | 発病 | 0.6‐0.7 | 30〜40% |
米国、高齢者一般 | 入院 | 0.3‐0.7 | 30〜70% |
米国、65歳未満、健常者 | 発病 | 0.1‐0.3 | 70〜90% |
日本、65歳以上、施設入所者 | 死亡 | 0.2以下 | 80%以上 |
日本、65歳以上、施設入所者 | 発病 | 0.45‐0.66 | 34〜55% |
接種可能です。
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、胎児に悪影響を及ぼすとは考えられていません。しかし、妊娠初期は自然流産が起こりやすい時期であるので、
この時期の接種は避けた方がいいでしょう。妊娠中期〜後期がインフルエンザの流行期となる妊婦は、ワクチンの有益性を考慮して接種します。
かかりつけ産婦人科医とご相談の上、当院受付にてご予約下さい。
接種可能です。
母乳中に移行するワクチン成分は極めて微量であり、乳児に悪影響を及ぼすとは考えられません。
乳児の感染防御という意味においても授乳婦へのワクチン接種は実施されるべきと考えます。
6ヶ月未満の乳児は、インフルエンザ罹患率およびその合併症の頻度とも、6ヶ月以上の乳児に比較して低率であり、母体由来の抗体の関与が示唆されています。 以上から、ワクチン接種は6ヶ月以上とするのが望ましいです。
接種可能です。
(但し、高用量のテオフィリン内服中の方は注意が必要です。)
喘息に使用する薬剤で問題となるものにテオフィリン薬があります。しかし、多くの研究で、
インフルエンザワクチンがテオフィリンのクリアランスや半減期に及ぼす影響はないか、あってもわずかで、一過性のものとされており、
臨床現場で問題になることは少ないと考えられます。
インフルエンザの感染は、患者の飛沫を吸い込む以外に、飛沫が付着した手指を口や鼻に直接触れることでも成立します。 インフルエンザウイルスの粒子はマスクを通過するほど小さいですが、マスクをすることで口や鼻に触れる機会は少なくなります。 また同様に、手洗いで付着した感染症の粒子を洗い落とせば感染のリスクは低くなります。
接種後30分は様子を観察し、医師と連絡をとれるようにしておいて下さい。接種当日に激しい運動は避けましょう。入浴はさしつかえありません。
接種後、早期に発症し、迅速な対応の有無を分けるのはアナフィラキシーです。そして、アレルギー反応は接種後早期に発現するほど重篤です。
接種後30分間の観察のみで十分とはいえませんが、最も重篤な反応に対して、適切な医療行為を行うための観察期間としては、30分の待機が重要です。
高度の過敏性を有する卵アレルギーに対しては、接種後必ず30分間、院内待機させるべきです。
2〜3日で消失します。
10ミリ以上の発疹で痛みがともなうときは受診して下さい。
症状としては局所の発赤が最も多く、他にも、腫れ、痛みなどがありますが、通常数日で軽快します。局所症状が現れる頻度は、成人の方が高率です。
このことからも、免疫学的あるいは過敏反応としての機序が一部にあると推察されています。全身的なアレルギー反応がなく、
局所反応のみであれば、経過観察でよいと考えます。
接種部位はあまりもむ必要はありません。